京都新聞 2015年5月7日(木)
カキツバタにシカ食害
 京都・大田神社、国の天然記念物
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ちょうど見頃を迎えたが、シカに食べられて花がまばらになってしまったカキツバタ(京都市北区・大田神社)

国の天然記念物に指定され、見頃を迎えている京都市北区上賀茂の大田神社のカキツバタの花やつぼみの約2割がシカに食べられてしまったことが7日、分かった。
例年は一面紫色に染まる沢が「満開」を迎えられずにいる。

鳥居近くの約2千平方メートルの沼地・大田ノ沢に、野生のカキツバタ約2万5千株が群生する。
古くから初夏の風物詩として親しまれ、平安時代の歌人、藤原俊成は和歌に詠んだ。

今年は、例年より1週間早く4月25日に開花したが、今月2日、同神社の管理を担当する上賀茂神社の高井俊光権禰宜が、複数の株で花がなくなり、葉にちぎられた跡があると気付いた。
その後も花の数は減少、以前からシカの姿が目撃されており、足跡などからシカによる被害と断定した。

花の約2割がなくなり、一部の株はなぎ倒されているという。
同神社は6日、裏山にシカの進入防止網を設置した。高井権禰宜は「千年以上にわたり、人々の心を癒やしてきた花が被害を受けて残念。京都府や文化庁と協議をして、対策を講じたい」と話している。

【 2015年05月07日 15時00分 】