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「植治の庭・清風荘庭園」
2008年11月  (京都大學茶の湯文化研究会・茶会)

植治の庭
今、温暖化現象・異常気象の問題が私達の地球規模に考えられるようになりました。
私達の地球は他の惑星と異なる点は、生命体が存在している事そして海水や川の水、酸素空気の存在そして空に太陽・月・星・雲があり雨・露・雪・風等が存在している事です。この中から生命体の誕生があったと考えられ、このどの部分が欠けても生命が存在できないのです。
しかし私達人類は最初は自然のジャングルで生活していましたが、文明文化を持つ事により自然を破壊しながら自分達の理想郷を造り上げたのです。今日見るコンクリートジャングルです。
鉄とガラスとコンクリートの周りに人類の最大の発明「水平と垂直」を駆使し色々な建築物を造り上げたのです。地球の表皮地面もコンクリート・アスファルト・タイル等で固めそこにも「水平と垂直」により道路・地下鉄・高速道路を造りました。
生活面の副産物は時間・単位・数学を作り、進化させデジタル化社会を造ったのです。そして結果として快適に過ごしているかと思うと何やら心の窮屈さを覚えるのです。
また自然を呼び戻そうとするのですが、自然は人間の手で造り出せないと考えています。
自然は自然が造るのです。何百年何千年何万年と時が自然のサイクルを造るのです。それは生命の循環機構・生命の再生機他ならないのです。
でもどうしてもと言われる方に「自然の香り、自然のエッセンス」をお届けするのが 「植治の庭」です。「植治の庭」の材料は土や石、樹木・苔・花・芝生等の「地球の 大地」に有る物全てが材料です。
池・滝・プール・噴水また蹲踞には「水」が必要です。造る場所は屋外アウトドアで す。そこには空気・酸素そして空が存在します。空には太陽・月・星、そして雲があ ります。雲がある以上、雨・風・雪・露等の「気象現象」があります。これら全てが 「植治の造園」の材料と考えています。
「地球の大地」と「水」と「空」――私達は、「生命」と同じ材料を使って何故造園 をするのか? 私はこう考えています。私達は美しい星空や夕焼けを見た時、海や川の流れを見た時、シーズンのモミジの紅葉や満開の桜の花を見た時と思わず微笑みこぼれ、このいづれを見終えた時に何か心がリフレッシュされ、壮快で癒され満たされた気持ちになるのです。今、私達の周りから地球から自然が失われつつあります。
そこで「植治」では同じ材料を使って造園をするならば、庭を「身近な自然」と考えて、 美しい自然・豊かな自然・輝く自然・優しい自然を皆様のお傍にお届けするのが「植 治の庭」です。
決して植治では自然のその物に手を掛ける事は致しません。私達の庭を造る場所は人 工化された場所に自然に近い物を如何に造るかと言う事です。しかし私達の造る庭は不自然な自然です。でもそこに自然を如何に呼び込むかが「植治の庭」です。自然の美しさ・自然の豊かさそして自然の大切さを気付いて頂けるような庭造りを目指しています。
「京都発、心の議定書」に繋がる庭造りが「植治の庭」です。

清風荘庭園
「清風荘」は明治45年〜大正2年(昭和5年までに改造)に七代小川治兵衞が西園寺公 望候の京都の御別邸として15世住友吉左衛門様の御命により作庭を致しました。元々 この地は徳大寺家の別業清風館でした。この場所は御二方が共々幼少期をお過ごしに なられた緑の地です。
現在NHK大河ドラマ「篤姫」でも御存じのように、西園寺公は国政に御多忙な毎日で、 気分転換出来る場所としての目的の為に創建されました。
「清風荘」は敷地約3,000坪と広大でありながらも西側正門は簡素で質素な門構えで 玄関もまた西園寺公のお好みの控えめな造りとなっています。
玄関庭園は広い平庭の大半を黒竹の群生で統一し、黒竹の凛とした風格と柔かな葉の雰囲気が上品で格調高い西園寺公の特徴ある玄関庭として有名になっています。西園寺公はフランス留学中のフランス郊外の広大な田園風景や東京のお住いに近い武蔵野の自然の雑木林等を大層お気に召されていた御様子から清風荘は家屋を北側のやや高台の地に建設され南側は広く平地を造り、緩やかな傾斜としてそこに芝生の明るい空間を造り出して、庭園全体が見渡せ展望出来る工夫を施しております。庭園の中央に大きな池を造りました、この池、実は七代目治兵衛はここに三番目の琵琶湖をお造りしたのです。
第一番は岡崎の「洛翠庭園」(旧 藤田小太郎邸)琵琶湖に大変関係のある事業をさ れ琵琶湖への関心度が高いため、事業に深く関わりのある方で琵琶湖の地図を図面代 りに琵琶湖の作庭を致しました。
第二番は「平安神宮東神苑」「栖鳳池」です。当時、近代京都を作る大原動力となっ た琵琶湖疎水の水を御神苑に喜びと感謝の水を使って琵琶湖を表現、沢山の水を神様 に御供えしたのです。
そして第三番の琵琶湖が「清風荘庭園」の池です。西園寺家は古来琵琶を家業とされ ていました、琵琶と云えば琵琶の神様、弁財天さんです。琵琶湖の竹生島には弁天さ んが御祭りされています。「清風荘」の庭園の琵琶湖には竹生島の位置に同じく竹生 島の中ノ島を配位し飛び石で渡れるように致しました。この中ノ島は西園寺家にとっ ては聖なる場所であり、最も心が落ち着かれお寛ぎ頂く空間でもあったのです。
自然を愛され、広々とした大地、大田川から引かれた大きな池、庭内の木立を通して 遥か大文字山を中央に東山の連山、そしてその後方に広がる広大な大空を御多忙な日 々を御過ごしの西園寺公望公の憩いの空間であり、癒しの空間として七代目 小川治 兵衞が心を込めて作庭致しましたのが「清風荘庭園」であります。

平成20年11月吉日
植治11代 小川 治兵衞

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